プロンプトエンジニアリング入門|生成AIを使いこなすための基本と実践法

はじめに:そもそもプロンプトってなんやねん?

生成AIを使いこなすために避けては通れない「プロンプト」。これは、AIモデルに具体的な指示を与えるための入力文のことです。単に質問を投げかけるだけでは、思った通りの出力が得られないことも多くあります。そこで重要なのが「プロンプトエンジニアリング」です。本記事では、プロンプトの基本的な役割から、具体的な設計方法までを詳しく解説していきます。

生成AIの基本的な仕組み

生成AIは、過去に学習した膨大なデータを基に、次に続く可能性の高いテキストを推測して生成します。

AIが次にどんな単語を選ぶかは、確率的な推測に基づいて決定されるのです。

この仕組みを理解することで、より効果的なプロンプトを設計することが可能になります。

GPTを基盤にChatGPTが生まれた

GPT(Generative Pre-trained Transformer)は、Transformerアーキテクチャをベースにした出力特化型モデルです。このモデルは、入力された情報に基づき最適な出力を予測します。補助的にBERTのような入力特化型モデルが使われることもあります。

一方、ChatGPTはこのGPTを基盤に、ユーザビリティに特化したツールです。特に対話形式に優れ、トークン数のカウント機能などを備えており、より直感的な操作が可能となっています。

プロンプトエンジニアリングの技法

指示文の構造

効果的なプロンプトを作成するには、以下の3つの要素を押さえることが重要です。

まず「指示と対象」を明確にすること。例えば、「以下のメールの本文を作成してください」といった具体的な指示を与えます。

次に「文脈」を説明することが重要です。「画像認識を行うPytorchライブラリを使用しています」と伝えることで、AIがより適切な出力を生成できます。

最後に「出力形式」を指定します。「CSVで出力してください」といった形式指定により、期待通りの結果を得ることができます。

プロンプトの具体例

例えば、以下のようなプロンプトが有効です。

「以下のメールの本文を作成してください。送信元:〇〇 宛先:〇〇 内容:なんとかかんとか」

また、出力形式を指定する場合は、

「上の文章をマークダウン形式で記事にしてください」

といった形で指示します。さらに、エラー解決のためには、

# エラーログ: (貼り付け)

#対象プログラム :プログラミング言語を伝える

上のエラーログと対象プログラムから、エラーの原因と解決策を教えてください

という具体的なプロンプトを使うことができます。

高度なプロンプトエンジニアリング技法

CoT(Chain of Thought:思考の鎖)

CoTは、AIに推論過程を示すことで、より正確な回答を引き出す技法です。

例えば、

10以下の3の倍数の合計は偶数です。これは正しいか正しくないか答えてください。
考え方: 3, 6, 9の合計は18です。

このように、推論のプロセスを示すことで、AIは複雑な問題に対しても正確な回答を出しやすくなります。

Least to Most Prompting

この技法は、小さな問題を順に解決させることで、最終的に大きな問題を解決するアプローチです。段階的な思考を促すことで、AIが複雑なタスクにも対応できるようになります。

問題: エイミーは滑り台の頂上まで登るのに4分、滑り降りるのに1分かかります。ウォータースライダーは15分後に閉まります。エイミーは閉園までに何回滑ることができますか?

この問題を解決するために、まず以下のサブ問題に分解します。

  1. 1回の滑り(登る+降りる)にかかる合計時間を計算する。
  2. 利用可能な時間内に何回滑ることができるかを計算する。

最初のサブ問題では、登るのに4分、降りるのに1分かかるため、1回の滑りに合計5分かかります。次に、ウォータースライダーが閉まるまでの15分間で、5分の滑りを何回行えるかを計算すると、3回となります。したがって、エイミーは閉園までに3回滑ることができます。

このように、Least to Most Promptingは、問題を段階的に解決することで、AIモデルの推論能力を高め、より正確な解答を導く手法として注目されています。

まとめ:プロンプトエンジニアリングの重要性

プロンプトエンジニアリングは、生成AIの性能を最大限に引き出すための鍵となる技術です。単に質問を投げるだけではなく、適切な文脈、出力形式、具体的な指示を与えることで、より精度の高い出力が得られます。さらに、CoTやLeast to Most Promptingなどの高度な技法を駆使することで、複雑な問題にも対応可能です。生成AIの可能性を最大限に活用するために、ぜひプロンプトエンジニアリングの技法を取り入れてみてください。